長周期地震動によるものではないが、エレベーターの緊急停止事例で最も大騒ぎになったのは、二〇〇五年に起きた千葉県北西部地震(マグニチュード六・〇)のときだろう。規模からすると小さな地震だったが、千葉市の直下で発生したこともあって、千葉市をはじめ、東京足立区でも震度五を観測するなど、首都圏に混乱を招いた。このとき停止したエレベーターは、東京・神奈川・千葉・埼玉でじつに六万四〇〇〇基。そして、確認されているだけで利用者の長時間閉じ込めが七八件も発生した。
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停止したエレベーターが多すぎて、閉じ込められた人の救出に時間がかかったり、エレベーターの復旧が遅れたりと、地震時のエレベーターにかかわるさまざまな問題が浮き彫りになり、超高層のマンションやオフィスビルに重い教訓を残した。東京都庁の四五階にある展望室にいた約二〇〇名が、およそ一時間半の間、地上に下りられずに足止めを食らわされたが、事情は超高層マンションの住民とて同じであった。しかし、利用者の閉じ込め事故などは確かに問題であるものの、六万四〇〇〇基ものエレベーターが緊急停止したこと自体は、安全システムが正常に機能したことを証明したといえるだろう。