家の住み心地を考えるとき、そこには、静かさとか、服量感とか、気密性とか、さまざまな要素がごちゃっと頭に浮かぶが、要は「見た目の安らぎ」と「使いやすさ」だろう。そして「見た目の安らぎ」はデザインとマテリアルにかかっている。それぞれの役目を終えて帰宅した人を、その家はどういうふうに迎えてくれるのか、どう甘えさせてくれるのかということである。もちろん、視覚が主となるが、「ひとかたでない居心地」は五感全部で感じるものであることは確かである。
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「ただいま」と帰って、玄関からリビングへ抜ける。あるいは寝室へ直行する。その間に目に入る壁、天井、家具、窓、床、そして青、空気の息継ぎ、これらを全身のすべてで感知する。そしてそれが「やっぱり、我が家でなくちゃ」と共鳴する家作りが肝心だ。スムーズに体が移動できない間取りは気分を淀ませ、疲労の重みを感じさせる。ドアを開けたとたん鼻先に迫る味気のない階段は、二階に上がる気持ちをへし折るし、「じゃ、一杯水でも飲むか」と目を転じると、ごちゃごちゃとしたリビングとキッチンが内乱のように混在する空間は、それ自休が前蹴りをくらったようなバリアなのだ。滅入るのである。