海外から帰国した人々の住宅問題である。昭和60年以前は1ドル=140円前後であったから、アメリカから帰国する際、向こうで平均的住宅(およそ10万ドル程度)を所有していた人がそれを売却すると2400万円となった。当時田園都市線沿線でも、駅から、バスで少々離れたところであれば、50坪の住宅が3500万円ぐらいで購入できたから、1000万円ぐらいのローンを組めばなんとか土地付きの家が持てたわけである。しかし、現在では10万ドルが1200万円から1300万円、今後円が安くなっても1600万円前後にしかならない。一方住宅価格は今後多少値下がりしても、同じ場所の同じ物件が8000万円近くはするであろう。少し狭いものでも5000万円はするとみられる。これでは、あまりにも格差ができすぎている。今後とも住宅価格が給与所得や一般の物価以上に値上がりしていくとすると、安心して海外に勤務することができなくなるであろう。また国内においても、地方へ転勤して将来東京に戻りたいと思っている人は、不安に思うであろう。今後、東京圈の地価をだれしもが一応は納得のいく水準に引き下げ、安定した状態をつくり出さないと、それはやがて社会のさまざまな面に深刻な影響を与えることになるであろう。問題点を整理してみよう以上に述べてきたことをここでもう一度振り返りながら、首都圏を中心にした土地問題、また全国的な観点からの土地政策のあり方というものを考えていくことにする。まず首都圏の地価の暴落に近い状況により、かなりの不動産業者が倒産の危機に直面している。それは、土地投機に深く加担した金融機関の信用問題にも大きく発展していく可能性がある。土地投機のツケはその両者に不可避的に回ってくるであろうが、今後の政策はそれらの被害が最も少なくすむような方法を講じていく以外にあるまい。そのためには、基本的には不動産業者に積極的に融資した金融機関が、その損害のかなりの部分を引き受け、他部門からの利益により埋め合わせ、償却していくべきであろう。
[参考]
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