屋根が住居の上にも厳然として乗っかっている風景もあちこちに見うけられます。親代々の大工だと腕を誇っている大工さんとヨモヤマの話をした時に「アッシの親父はすばらしい腕を持っていてお得意さんもずい分あったのですが、特に屋根の形が良いと可愛がられたようです。ずいぶんコツた屋根もやったようですが、最近の屋根は味が無くっていけませんや」と暗に私の設計する家の屋根があまりにも簡単であることをケイベツするような様子でした。
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この“コツた屋根”というやつがクセモノで、その限りでは最近の小住宅は費用の関係もあって、古い精神的な束縛から解放されているようには見えるのですが、もっといろいろな点で家を経済的にあげる為や新しい表現をするために、建築主にアルミニューム葺や、亜鉛鍍鉄板瓦棒葺というような屋根をすすめると、いややっぱり屋根は日本瓦が堂々としていて家に落ちつきがあって良いようですな、とよく反対されるのです。もちろん屋根瓦としての日本瓦はいろいろ良い点を持っているので否定する気持はないのですが、ただそれをなんのために使いたいのか。その根本的なものにまだまだぬぐい切れない封建思想が感じられるのです。日本瓦の形をしたセメント瓦にいたってはまさにわびしい限りです。