大阪住吉の長屋の一軒を切り取り、鉄筋コンクリートの箱を差し込んだような住宅。間口3.3m、奥行き14.1mというとても小さな家だ。通りから見ると、長屋が軒を連ねる中に、コンクリート打ち放しの箱が、少しだけ顔を出しているのが見える。そのコンクリートの壁の真ん中に、ドアの大きさほどの小さな穴があり、その穴の側面に玄関のドアがある。玄関を入り、居間の空間の先を眺めると、中庭に光が落ちているのが見える。長屋の建て替えであるこの建物は、細長く、中央に光庭をとって東西に2階建てのボリュームが配されている。
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中庭の奥には小さなキッチン・ダイニングと浴室、2階には中庭を挟んでふたつの個室があり、デッキによってつながれている。壁と天井はコンクリート打ち放しとなっていて、1階の床は玄昌石で仕上げられている。伝統的な町家にも中庭は設けられるが、この中庭には2階へ上る階段も設けられていて、雨の日に行き来するには傘をささなければならない。それぞれの部屋は単純な矩形の平面であり大きさも似ている。仕上げ材料も限られているため、ともすれば単調な体験になりかねない。